蝉へ

夏だから。

夏の度に。


必ず1匹はウチのベランダでお亡くなりになる。


命あるものは、いつか消えていく。
それは自然の摂理だけれど。

お願いだから仰向けで死なないで。
虫が死ぬほど嫌いだから。
特におなか側のビジュアルが苦手。



昨日からベランダに仰向けの蝉がいて、あの集中豪雨の時にそれを拾おうと恐る恐る片羽を掴んだら……

バタバタもがいて動き回ったー！！！

あなたも死にそうだったのでしょうが、私も死にそうでしたよ。

竿つりで必死にうつぶせに直してみたけど、水溜りに半分漬かったままピクリとも動かない。

仕方なくそのまま一日放置したけど、今日昼前に見たらまた仰向けに。

？？？


蝉よ、あの状態から仰向けにひっくり返る力があるなら、もう少し永らえてほしかった。

今度こそ永眠されたと思い、またも竿つりで水溜りから出そうとしたら……



今度もまたジタバタと水溜りを動き回ったー！！

そして、何かのはずみでうつ伏せに戻った！



もう嫌。

もう怖い。



食事を終え、再度ベランダをのぞくと、そこに蝉の姿はなく……



ありがとう！蝉。

おめでとう！！蝉。

まだ少し、君の人生に幸多からん事を。